・ガンマナイフの導入
ガンマナイフは、1940年代にスウェーデンのカロリンスカ大学脳神経外科レクセル教授によってその原理が考案され、1960年代に治療機器として開発に成功、1968年に第1号機がカロリンスカ大学病院に設置されました。その後、様々な改良が加えられ、1987年に新しいモデルのガンマナイフがアメリカ・ピッツバーグ大学に導入されたのを皮切りに全
世界へと普及していきました。日本では、1990年に国内第1号機が治療機として東京大学病院導入されました。当施設は、国内4番目世界で25番の設置施設として開設され、1991年11月より稼働しています。
図1
現在は日本国内に54カ所に設置され、これまで国内でガンマナイフ治療を受けた患者さんは、2016年までの累計で約24万人となり、全世界では累計約104万人に達しています。
・ガンマナイフの進化発展
1960年代に治療機器として誕生したガンマナイフは、以後様々な改良を加えながら進化してきました。これまで何度か新しいモデルのガンマナイフが発表されてきましたが、当施設ではいち早くそれら新機種の導入を行い、最新かつ最良の治療を実施してきました。
1991年開設時のガンマナイフモデルBの後、2002年11月にはモデルCを国内第1号機として当施設に設置しました。このモデルは、APS(オートマティック・ポジショニング・システム)という新機能が導入され、これまで手動で行っていた操作の大部分を自動化できるようになったため、治療時間が大幅に減少し、患者さんの負担軽減に貢献しました。
2008年12月にはガンマナイフ パーフェクションという機種の国内第1号機が、やはり当院に導入されました。
図2_1
図2_2
このモデルでは、ガンマナイフの基本構造が大幅に改良された結果、治療可能範囲が拡大し、治療も完全自動化され、治療効率が大きく向上しました。
2016年10月 新世代のガンマナイフICON(アイコン)の日本第一号機を導入しました。ICONはこれまでのガンマナイフに定位的コーンビームCTと赤外線による体動の監視システムが組み込まれた装置で、これまでのフレームによる固定に加えて、ガンマナイフの利点を生かした上でマスクシステムでの分割照射が可能になります。様々な理由でフレーム固定が困難な患者さん、大きめの腫瘍で分割照射が望ましい場合等に威力を発揮します。
図3_1
従来のモデルにマスクでの治療時に位置を決めを行うために位置決め装置と連動して動くCTと治療中の患者さんの動きをモニターする赤外線監視装置が追加されています。
図3_2
赤外線により治療中の頭の動きを持続的に監視します。
これまでの治療実績
当施設では、年間400から500例の治療を行い、開設以来の累積治療はまもなく1万例に達します。
図4
治療症例の疾患別内訳では、転移性脳腫瘍などの悪性腫瘍が全体の61%、聴神経腫瘍、髄膜腫、下垂体腫瘍などの良性腫瘍が27%、脳動静脈奇形などの血管性障害が11%、三又神経痛などの機能的疾患が1%となっています。
図5
県外からの紹介
現在、日本国内には50を超えるガンマナイフ設置病院があり、一部の都道府県を除いて全国に普及しています。当施設は、東北地方の小さな地方都市にある病院ですが、我々のこれまでの実績を信頼して頂き、宮城県内だけではなく、遠方である他の都道府県の病院からも数多くの患者さんを御紹介いただいてきました。これまでの地域別の紹介病例数を図5に示します。
図6
パーフェクションクリニカルトレーニング実施施設
当施設は新たにパーフェクションを導入する施設の医師、看護師、放射線技師を対象とした臨床トレーニングを実施する施設として認定されており、これまで12施設の方々が参加されました。また、新たに治療を開始する国内外の6カ所の施設で治療開始のお手伝いをしてきました。
臨床治験の実施
ガンマナイフ治療に関わる臨床実験にも積極的にかかわってきます。
ガンマナイフ治療研究会が行っている多施設共同研究(JLGK)や日本臨床腫瘍研究グループで行った多施設によるランダム化比較試験(JCOG0504)の参加施設となっています。
図7
東北大学脳神経外科との関係
東北大学初代脳神経外科教授であった故鈴木二郎先生の名を冠した当施設は、東北大学脳神経外科の関連病院として診察協力体制をとっています。二週に一度行われている大学病院での症例検討会には、当施設を含めた関連病院に在籍する各治療チームの脳外科医が集まり、症例ごとに手術、ガンマナイフ治療など多角的治療戦略について検討して、適切な治療方針を決定しています。
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